近頃、ハーグ条約加盟への動きが、ニュース等で報じられるようになってきました。
国際離婚における親権の扱いだけでなく、国内でも離別した親子の絆が断たれることがないよう、一日も早い法整備が期待されます。
全国でも、当事者による共同親権・共同養育を求める請願活動が活発に行われていますが、地元大阪でも取り組みが実りました。
2010年12月21日、大阪府泉南郡熊取町議会で 「別居・離婚後の共同親権・共同養育、面会交流の法整備を求める意見書」が 採択され、国の各機関に提出されました。
http://www.town.kumatori.lg.jp/soshiki/gi/gikai-jimukyoku/download/bekkyo-rikonngo-kyoudou-221201.pdf
この意見書では4の「連れ去り別居」を禁止を国に対して要求するなどこれまでにない画期的な内容となっています。
内容は以下の通りです。
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別居や離婚後の共同親権・共同養育及び親子の面会交流に関する法整備と支援を求める意見書 我が国では、毎年約25万組の夫婦が離婚し、そのうち約14万組には未成年の子どもがおり、 単独親権制度を採用していることから、離婚時における子どもの奪い合いや別居や離婚後の面会 交流を拒み、多くの子ども達は、非親権者となった片方の親と面会ができなくなっている。
子どもとの面会交流を求めて、全国の家庭裁判所に審判や調停を申し立てる件数は、年々増え ているが、調停や審判を経て定められた面会交流の取り決めが履行されないで、「引き離し」にあ っている子どもが多いのが現状である。
そもそも婚姻関係の破綻は夫婦の問題で、親子の関係は一生続くものであり、共同親権に移行 した国々では“緊急性のない親子の引き離しは、子どもへの虐待である”との認識に沿った法整 備がされており、別居や離婚後でも、双方の親や祖父母が子どもと交流し、昨今起こっているよ うな虐待の抑止力にもなっている。
そこで、先進国で主流となっている共同親権制度に改めることにより、別居や離婚後も双方の 親が子どもを守っていくという意識の浸透が図られ、裁判所が別居や離婚後の親の立場により配 慮した面会交流の取り決めを行うことにより、取り決めを履行しない親が少なくなることが期待 される。
「子どもにとっての最善の利益が何か」という観点に立って考えれば、別居や離婚後であって も双方の親との面会交流を実現するための法整備や、国民意識の醸成についての議論を喚起し、 現状を少しでも改善していくことが何よりも必要である。
よって、国におかれては、下記の項目について速やかに具体的な検討を進め、別居や離婚後の 共同親権・共同養育及び親子の面会交流を実現しやすくするための法整備を含む、環境整備等、 適切な措置を講じられるよう強く要請する。
記
1.民法第819条を改正し、本質的に別居や離婚後も親の子どもへの権利義務は平等であると いう視点から、双方の親の養育の権利と責任を明確にする別居や離婚後の共同親権・共同養育 制度を導入すること。
2.DVや虐待に十分配慮した上で、別居や離婚後も双方の親が子どもへの養育に関わることが できるように、面会拒否に対する強制力の付与など実効性のある別居や離婚後の親子関係の維 持に資する法制度を導入すること。
3.別居や離婚後の親同士の関係を調整するための第三者による仲介への支援や安全な面会場所 の確保、別居や離婚後の親子関係についての教育プログラムの提供、子の年齢に応じた面会交 流のガイドラインの整備など、別居や離婚後の親子の交流を保障するための法整備を行うこと。
4.子どもは親の所有物ではなく、両方の親から愛され養育される権利を持った固有の人格である。 たとえ、親同士が不仲になろうとも、双方の合意なく一方的に子どもを連れ出す「連れ去り別 居」を禁止する法整備を行うこと。
5.別居や離婚は子どもにとって大きな衝撃や不安である。物心の両面から子どもをサポートし、 その影響を少しでも小さくするために、別居や離婚の際に、養育費や面会交流を含めた「養育 プラン作成」の義務化と、そのための相談・支援制度の法整備を行うこと。
6.現在の日本では、別居や離婚後の親子が全く会えないことも多く、会えたとしても月1回2 時間の面会交流でしかなく、これでは子どもの成長に寄与するどころか、悩みや体調不良、虐 待などに気づいてやることもままならないのが現状である。隔週2泊3日、長期休暇には長期 宿泊など、欧米諸国並みの面会交流を実現するような法整備を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年12月21日 大阪府泉南郡熊取町議会
2011年01月30日
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